織田浩一氏が2006年のニュースを振り返っている。今年は織田氏とニューヨークを回る機会があったが、訪問先企業の発言でいまだに印象に残っているひと言がある。「ブランドは消費者に忠誠を誓えるか」だ。ブランドは消費者から忠誠を誓ってほしいと考えているが、逆にブランドは消費者に忠誠を誓えているのか。消費者に衷情を尽くしているのか。消費者を見くびっていないか。これはよく考えると、ブランドと消費者だけの問題でなく、広告会社の問題でもある。ブランドと消費者が忠誠を誓い合うためには、ブランドの代弁者であり消費者の代弁者である広告会社の姿勢が問われるだろう。広告会社は、ブランドと消費者が幸せに結婚するための仲人になりたい。しかし、世知辛い競合コンペが多く、仲人は疲弊ぎみだ。ブランドは仲人を何人も立てて、結婚のプランを何案も提案させる。しかも無料で。この構造は何とかならないのか。まず仲人に忠誠を誓わずして、幸せな結婚ができるのか。と、大きな声でいえたらなあ。えっ、仲人なんていらないって?はいはいどうぞご自由に。
ボストンコンサルティンググループが、線形ファネルから影響マップへの移行を提唱している。これまでマーケッターは、認知から購買に至る消費者ジャーニーを直線的なファネルとして捉え、そこにさまざまなタッチポイントを強引に当てはめてきた。その旧来モデルは、戦略、予算配分、コミュニケーションを簡便に管理できて有用だが、リソース配分やメッセージの誤りにより機会を逃すリスクがある。消費者の複雑なジャーニーに対応する柔軟なフレームワークとして、影響マップを提唱している。 It’s Time for Marketers to Move Beyond the Linear Funnel https://www.bcg.com/publications/2025/move-beyond-the-linear-funnel 影響マップは、ストリーミング、スクロール、検索、ショッピングを消費者の主要な4つの行動として挙げ、それらが認知から購買までの過程の複数の段階で重複して影響を及ぼしていることを整理する。タッチポイントの影響力は、注視度、関連度、信頼度で決まる。影響力とリーチを組み合わせ、タッチポイントの優先順位を考える。複雑なアプローチになるが、AIの活用により実行できるとしている。 旧来の線形ファネルでは、「認知獲得に有効なのはビデオ。ユーチューブで認知を獲得しよう」という発想になりがちだが、グーグルによるとユーチューブは購買プロセスの全体に影響を与えているという。注視度、関連度、信頼度のそれぞれで、ユーチューブは消費者に高く評価されているという。 The new rules of influence: Rethinking the consumer journey https://business.google.com/us/think/search-and-video/video-influence-on-consumer-purchase-decision-process/