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日本経済新聞「進化するクロスメディア広告」

2006年2月17日、日本経済新聞社は日本経済新聞創刊130周年記念・NIKKEI NET 10周年記念セミナー「進化するクロスメディア広告」を実施した。
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講演1
ダウジョーンズのランディキルゴア氏は、シスコシステムズ、GE、ユナイテッドテクノロジーズの事例を用いて、ダウジョーンズのプロパティを活かしたクロスメディア展開を紹介した。シスコシステムズ向けには、経営者層が情報化投資について対話できるウェブサイトを開設した。ユナイテッドテクノロジーズ向けには、新広告ユニットの開発および各メディアのルックアンドフィールの統一を図った。
Dow Jones Integrated Solutions
http://www.dowjones-is.com/
The Boardroom Connection
http://www.boardroomconnection.com/
ECOnomics
http://www.smartmoney.com/ge/
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講演2
ダイナミックロジックのニックナイアン氏が初来日。広告効果をリーチおよびフリークエンシー(Reach and Frequency)、態度/ブランドへのインパクト(Attitude/Impact on Brand)、行動/結果としての反応(Behavior/Resulting action)の3階層に分類したうえで、第2階層を測定すべきとした。それはさらに、認知(Awareness)、メッセージ連想(Message Association)、特性理解(Attribute)、好意(Favorability)、行動意向(Behavior Intent)のファネルになっている。この各指標を測定することによってコンスーマーエンゲイジメント(Consumer Engagement)を把握できる。それらの説明のあと、ダイナミックロジックと日本経済新聞社が共同で実施したクロスメディア広告効果測定結果が紹介された。ダイナミックロジックが日本で調査を実施したのはこれが初めて。ひとつ目の事例は、みずほコーポレイト銀行。2005年9月28日から11月1日にかけての調査。「投資銀行宣言」のメッセージ連想率(メッセージとブランドを結び付けられるひとの割合)は、広告非接触者グループ(556名)と比較すると、新聞広告のみ接触者グループ(552名)で+5.1ポイント(以下ポイントは広告非接触者グループとのデルタ)、新聞広告・インターネット広告両方接触者グループ(1,246名)で+11.1ポイントとなった。エグゼクティブ層およびマネジメント層だけを抽出して集計すると、広告非接触者グループ(100名)と比較して、新聞広告のみ接触者グループ(88名)で+8.5ポイント、新聞広告・インターネット広告両方接触者グループ(202名)で+16.3ポイントとなった。同じくエグゼクティブ層およびマネジメント層に注目すると、広告認知率は新聞広告のみ接触者グループ(88名)で+12.5ポイント、新聞広告・インターネット広告両方接触者グループ(202名)で+17.9ポイントとなった。そのほか「投資分析視点が優れている」といった特徴についても、クロスメディアによる評価の向上が確認された。ふたつ目の事例は、自動車保険会社。2005年12月の調査。クロスメディアによる加入意向の向上が確認された。この調査報告を終えると、過去の知見からインターネット広告の成功の法則として5項目を挙げた。
1. Banner Clutter
バナーにメッセージを詰め込みすぎない。最初の2秒で注目させる。
2. Logo Size
ロゴは小さくなりがちだが大きく。
3. Banner Size
大型のバナーが注目されやすい。
4. Presence of Human Face
人間の顔は目を引き付ける。
5. Frequency
フリークエンシーキャップを。5から10回が有効。
また、クロスメディア広告を成功させる方法として3項目を挙げた。
1. Coordinate message and style across media.
メディア間でメッセージとスタイルを調和させる。
2. Capitalize on each media's characteristics and strengths.
各メディアの特徴と強みと活かす。
3. Use the precise targeting capabilities of online and print to deliver relevant message to specific targets.
特定の対象に適切なメッセージを届けるために、インターネットや雑誌の的確なターゲティング能力を使う。
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パネルディスカッション
コーディネーターは法政大学の田中洋氏。パネリストは日本電気の紫尾淳一氏、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアムの矢嶋弘毅氏、電通の岡野雅一氏。岡野氏はクロスメディアのプランニングについて、ただ消費者をメディアで囲むのでなく、いかに消費者のバリアを破るか大切と指摘。オーセンティックメディアである新聞は有効に活用したいと述べた。クロスメディアとメディアミックスあるいはIMCとの違いについては、明確な定義がないとしつつも、メディアミックスはマスへのマクロなアプローチ、クロスメディアはターゲットへのミクロなアプローチと区分した。メディアミックスをメディアの足し算、クロスメディアをメディアの掛け算とも述べた。パネリストの意見を総合すると、クロスメディアのプランニングとは、消費者のコンテクストに合わせたメディアおよびクリエイティブの組み合わせによって、消費者を巻き込む仕掛け、情報連鎖を設計すること、といったあたりか。矢嶋氏は、消費者をオンラインに呼び込む仕掛けとしては検索を促す手法が有効だとして、日本電気(ブレードは誰だ)やGM(Google Pontiac)の事例を紹介した。あらゆるものがメディアとなり、メディアとクリエイティブの区別があいまいになってきているとも指摘した。

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