スキップしてメイン コンテンツに移動

放棄ドメイン名によるブランド棄損問題

有効期限が切れて失効したドメイン名は、放置しておくと他者に取得されて、アフィリエイトやSEOを目的としたウェブサイトになってしまうことがある。アダルトサイトになってしまったり、ウイルスが仕掛けられたりすることもありえる。中古ドメイン名が狙われるのは、当初の所有者が獲得した被リンクを引き継ぐことで、検索エンジンでの高い評価および集客が見込めるからだ。広告キャンペーンに利用されたドメイン名は多数の被リンクを獲得しているので、特に狙われやすい。ブランドの管理していたウェブサイトが他者の手に渡れば、ブランドイメージが棄損されたり、アクセスしようとした消費者が損害を受ける可能性がある。しかし、広告業界ではこの問題についての認識があまりにも低い。ウェブサイト制作担当でも理解が不十分なようだ。そこで、まず問題の実態を解明すべく、約3年前のキャンペーンサイトについて現状を調査してみた。
------------------------------
【調査対象】 ブログ「インターネット広告のひみつ」が2007年に紹介したキャンペーンサイトのうち、企業名や商品名を直接表現したドメイン名でなく、キャンペーン用に取得したと推定されるドメイン名で展開されたもの。ただし、海外法人が主導したと推定されるキャンペーンサイトは除く。この条件に当てはまるウェブサイト(ドメイン名)は40個。
【調査方法】 ウェブサイトを訪問して目視。Whoisでドメイン名の登録者情報を確認。
【調査結果】 ドメイン名40個のうち、当初の所有者(広告主または広告会社や制作会社)が継続して管理していたのは19個。当初の所有者以外に取得されていたのは17個。所有者なしが2個。不明が2個(Whois情報公開代行などにより所有者を特定できず)。他者に取得されていたドメイン名17個は次の通り。
kona*****.jp, golden*****.jp, live*****.jp, *********dance.jp, great*****.jp, ****mo2.jp, science****.jp, hair****.jp, ******genius.com, 30th********.jp, new****.jp, manner*****.com, rich*******.jp, quality********.jp, ******fighter.com, ****hero.jp, kokumin*******.com
------------------------------
サンプル数は不十分だが、約3年前のキャンペーンサイト(ドメイン名)のほぼ半数が放棄され、他者に取得されていることが判明した。彼らの名誉のためにドメイン名の一部を伏せたが、日本を代表するような輸送機器会社や情報通信会社のドメイン名も含まれている。テレビ広告なども利用した有名で大型のキャンペーンサイトも含まれている。さて、この放棄ドメイン名によるブランド棄損問題を回避するために、広告主および広告会社や制作会社はどうしたらよいか。まずは、この問題を正しく理解して、ドメイン名の安易な取得を控えるべきだ。ドメイン名の安易な放棄は、安易な取得に起因している。既存のドメイン名のサブドメインやディレクトリを利用する利点も十分に検討すべきだ。新規にドメイン名を取得するときは、たとえ数ヶ月のキャンペーン用でも、半永久的に契約を更新する覚悟が必要だ。広告会社や制作会社は、広告主から半永久的に業務を受注するわけではないのだから、ドメイン名の管理を引き受けるべきではない。ドメイン名はブランドの資産でもあり、広告主の責任で取得と管理を行うべきだ。

このブログの人気の投稿

「TikTok Shop」の国内売上、初年度500億円の見込み

studio15は、6月末から日本でも提供が開始された「TikTok Shop」の初年度の流通取引総額を約500億円と予測。 TikTok Shop日本市場、ローンチ後1年で約500億円規模へ https://studio15.co.jp/news/20251016 Blinxやライブコマースも市場規模を推計している。 Blinxの発表 https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/168016 ライブコマースの発表 https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/163027

マイクロソフト広告のパートナー賞、日本勢が受賞

マイクロソフトが「Microsoft Advertising Partner Awards」の2025年の受賞パートナーを発表。アジア太平洋地域部門で、日本からサイバーエージェント、トランスコスモス、電通デジタル、Hakuhodo DY ONE、WACULが受賞した。昨年までは日本からの受賞はなかったが、今年から日本でもパートナープログラムが開始されたことで対象になり、上位のエリートおよびセレクトパートナーが候補になったようだ。 2025 Partner Awards: APAC winners announced https://about.ads.microsoft.com/en/blog/post/october-2025/2025-partner-awards-apac-winners-announced