時事通信社の湯川鶴章氏から著書「次世代マーケティングプラットフォーム」をいただいた。「広告の周縁が広告の終焉を加速する」には同意。広告会社が終焉(または縮小均衡)を避けるためには、周縁のビジネスにも手を広げるべきだろう。しかし、テクノロジーがカギとなる周縁のビジネスに、広告会社が既存のリソースで対応することは困難だ。これまでの広告ビジネスは極めてアナログであり、テクノロジーで競争するという慣習が広告会社にはない。広告市場は戦後ほぼ一貫して成長してきたため、ビジネスモデルを変革するほどの危機に直面したりそれを乗り越えたりといった経験が広告会社にはない。そもそも、危機を危機として正しくとらえる感覚すら麻痺しているかもしれない。周縁への対応については、広告会社より印刷会社のほうが何枚も上手だろう。印刷の周縁に絶えず目を配ってきた印刷会社は、この数十年で事業領域を一変させている。そのような変革の遺伝子が広告会社にはない。このところマスメディアの広告費が縮小しているが、これは不景気のせいなのだろうか。周縁のせいではないのか。景気が回復しても広告費が回復しないとき、広告会社はいよいよ「広告の周縁が広告の終焉を加速」していることに気付くだろう。
クリエイティブエックスが、クリエイター(インフルエンサー)の制作した広告とブランドの制作した広告を大量に分析したところ、クリエイター広告はブランド広告と比較して、広告に推奨される要件を満たしていなかった。クリエイター広告のうち、冒頭3秒以内にブランドを示しているものは51%で、プラットフォームや配置ごとの推奨秒数に収まっているものは46%で、セーフゾーンを順守しているものは3%だった。クリエイターコンテンツとしての真正性を尊重するとブランドとの適合性は後回しになりがちだが、クリエイターコンテンツを広告として使用するなら広告の推奨要件をもっと満たさないといけない。クリエイター広告は戦術であり、ブランド戦略から外れた戦術であるなら無駄でしかない。 The Creator Paradox Report: Are Creators Really Effective? https://learn.creativex.com/are-creators-really-effective https://www.adweek.com/commerce/nearly-half-of-meta-creator-ads-ignore-key-best-practices/