スキップしてメイン コンテンツに移動

プログラマティック広告費の2割以上は無駄

アメリカの広告主協会が、プログラマティック広告取引の透明性についての調査結果を公開した。オープンウェブのプログラマティック広告は880億ドルの市場規模だが、そのうち15%の130億ドルは「広告のために作られたサイト」(低品質なサイト)に配信されていて、それを含む200億ドル以上は効率化の余地があるという。情報の非対称性により、買い手である広告主は売り手より不利な意思決定を迫られており、透明性の低さは非効率や無駄を生んでいる。そういう状況でコストを追求すると、低品質な在庫の購入につながりやすい。オープンウェブはウォールドガーデンと比較して、多様なオーディエンスにリーチできる機会を提供するかもしれないが、広告主と利害が一致しない参加者にもオープンであることを理解すべきだろう。

ANA Programmatic Media Supply Chain Transparency Study — First Look
https://www.ana.net/miccontent/show/id/rr-2023-06-ana-programmatic-transparency-first-look

追記(2023年12月19日):このレポートの完全版が公開されている。

ANA Programmatic Media Supply Chain Transparency Study: Complete Report
https://www.ana.net/miccontent/show/id/rr-2023-12-ana-programmatic-media-supply-chain-transparency-study

プログラマティック広告の効果と効率を追求するため、以下が推奨されている。

  1. プログラマティックキャンペーンで使用されているウェブサイトの数を知り、最適化する
  2. 「広告のために作られたウェブサイト」(MFA)がオープンウェブのプログラマティック予算のかなりの部分を占める可能性があることを認識する
  3. 除外リストに重点を置くのでなく包含リストの作成と使用を優先する
  4. 直接の在庫供給パスを通じて購入する
  5. すべての主要サプライチェーンパートナー(DSP、SSP、広告検証ベンダー)と直接契約を結ぶことを検討する
  6. SSP最適化戦略を持つ
  7. プログラマティック広告における情報の非対称性の力学を理解し、情報格差を埋める対応をする
  8. 広告主がメディア投資をより積極的に管理する責任を持つ
  9. 代理店が代理人としてメディアを購入しているのか、透明性のないベースで在庫を販売しているのか、主体として機能しているのかを知る
  10. どのような種類のプライベートマーケットプレイスから購入しているかについて理解を深め、オープンマーケットプレイスにより多くの予算を割り当てる実験を検討する
  11. プログラマティック広告の価値を評価するため、広告の品質と価格を正確に測定する
  12. プログラマティックメディアにおける安価な在庫の追求と広告の品質のバランスを取る
  13. サプライチェーン上のあらゆるアドテクベンダーからログレベルのデータを収集し、価値のある部分とない部分を照合する
  14. 測定可能性とビューアビリティーを最適化することで、透明性を向上させる
  15. 無効なトラフィック(IVT)に対抗する積極的なプランを持つ
  16. プログラマティックメディア購入のサステナビリティーへの影響を理解する

このブログの人気の投稿

Xが広告在庫をグーグルに開放か

X(旧ツイッター)が「Google Ad Manager」を使用して広告在庫の一部を販売するようだ。「ads.txt」に「google.com」が追加された。 X turns to Google to sell programmatic ads as it struggles to regain ad dollars https://adage.com/article/digital-marketing-ad-tech-news/x-turns-google-programmatic-ads-timeline/2515981

電通グループ、フラーと資本業務提携

電通グループがフラーに出資し、フラーは電通グループの持分法適用関連会社に。また、電通デジタルとフラーは業務提携。 フラー、電通グループと資本業務提携を締結し、 モバイルDXの推進に向け電通デジタルとの協業を加速 https://www.fuller-inc.com/news/2024/06/partnership-dentsu フラー社との業務提携を締結し新たなモバイルアプリ市場を創造 https://www.dentsudigital.co.jp/news/release/services/2024-0621-000165

ユーチューブ広告の視聴率、実態と乖離

GPによると、ユーチューブは「ながら視聴」されやすいため広告が注視されづらい。耳だけで聴取されやすい長尺ビデオは、広告管理画面上で視聴率(=視聴回数÷表示回数)が高めになっていて、実際の視聴実態と乖離しているという。 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000137.000006798.html