クリックされることを前提とせずにコンテンツや広告を用意することが、ますます重要になってくるのではないか。デジタル広告は面積や時間に限りがあるので、ランディングページとの組み合わせでコミュニケーションが成立するように設計しがちだが、広告は滅多にクリックされない。クリックでなくインプレッションを重視した施策でも、結局はクリックの微々たる増減(例:1,000回に1回を想定していたが2回もクリックされた)に一喜一憂していないだろうか。
インスタグラムやティックトックでは、通常の投稿に外部へのリンクを設定できない(広告、リンクステッカー、ショッピングタグなどを除く)。それらのプラットフォームの利用者は、プラットフォームから離脱せずにコンテンツを連続して消費することに慣れており、その体験を中断して外部に遷移させようとする広告は、異質で歓迎されない存在かもしれない。
消費者が広告をクリックするとどうなるか。昨今はプライバシーポリシーやクッキーの受け入れに同意するかを選択するポップアップが表示される。消費者に選択権があるのはすばらしいことなのだろうが、意味不明なわずらわしい儀式と感じて毎度モヤモヤしている消費者もいそうだ。
グーグルなどの検索も進化している。キーワードやフレーズにもよるが、検索結果画面に回答へのリンクを羅列するだけでなく、検索の意図を読み取って回答そのものを表示するようになっている。検索結果画面で正解が分かれば、クリックしてその先を確かめなくてよい。
コンテンツや広告は飽和しており、消費者は時間がない。2022年の「日経MJヒット商品番付」で、東の横綱は「コスパ&タイパ」となった。クリックしてもらうことは、どんどん難しくなっている。クリックされることを前提とせず、価値を凝縮して端的に提示すること、無駄に時間を奪わないことが求められる。
Zero-Click Content: The Counterintuitive Way to Succeed in a Platform-Native World
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